赤ちゃんへの言葉かけ、同じ言葉ばかりでも大丈夫|言葉の量より「やりとり」を大事にする話

「赤ちゃんにはたくさん話しかけたほうがいい」。そう聞くたびに、ちゃんとできてるかな…と少しソワソワしませんか。私もそうでした。話しかけなきゃと思うのに、いざとなると話題が思いつかなくて、毎日同じような声がけばかり。「言葉のシャワー」なんて言われても、シャワーどころかポタポタ程度かも…なんて落ち込んだ日もあります。

だからこの記事では「もっと話しかけて」とは言いません。むしろ逆で、「今やってることで、たぶん大丈夫」と思える理由を、研究の話を「安心の根拠」としてまじえながら、ゆるっとまとめました。

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この記事を書いた人

こんにちは、linoです。2024年9月生まれの男の子を育てています。うちの息子は言葉がちょっとゆっくりめで、1歳のころには発達相談に行ったこともあります。

周りの子と比べて落ち込んだときも、何を話しかけたらいいか分からなくて黙り込んだときもありました。だからこの記事は「正しい話しかけ方を教えます」というより、同じように悩んだ私が調べて、ちょっと肩の力が抜けた話をおすそ分けする感じで書いています。

結論:言葉かけは「量」より「やりとり」

先に結論からいきます。赤ちゃんへの言葉かけで大事なのは、語彙の豊かさや言葉の量そのものより、「赤ちゃんと交互にやりとりすること」のほうだと言われています。語彙が乏しくても、同じ声がけばかりでも、無言の時間があっても大丈夫。その理由を、これから順番に見ていきます。

  • 難しい言葉はいらない。「ぶーぶ来たね」「お腹すいたね」で十分
  • 同じ声がけの繰り返しでOK。むしろ繰り返しは赤ちゃんが言葉を覚えやすい
  • 赤ちゃんの反応を待って返す、この往復がいちばん効くと言われている
  • 無言の時間があっても大丈夫。ずっと喋り続ける必要はない
  • 言葉の早い・遅いは個人差がとても大きい。比べて焦らなくていい

「ふーん、そうなんだ」と思えたら、それだけで今日の声がけが少し楽になるはずです。

「言葉のシャワー」「3000万語の格差」の正体

そもそも「たくさん話しかけて」のプレッシャーは、どこから来ているのでしょう。元になっている有名な研究をたどってみると、本当に大事なのは「量」じゃなかった、ということが見えてきます。

「3000万語の格差」って何だったの?

言葉かけの話でよく出てくるのが「言葉のシャワー」「3000万語の格差」というフレーズです。

元になっているのは、アメリカの研究者ハートとリズリーが1990年代に行った調査です。家庭ごとに赤ちゃんが3歳までに耳にする言葉の量を数えたら、家庭によって相当な差があり、その差がのちの語彙力にも関わっていた、という内容でした。のちにこの研究は、小児外科医のダナ・サスキンドさんが『3000万語の格差』という本にまとめています。

この話が「だからもっと話しかけなきゃ」というプレッシャーに変換されて広まってしまった面があります。でも、ここで立ち止まりたいんです。このフレーズの本当のポイントは「量」じゃない、というのがその後の研究で分かってきたことなんです。

本当に大事なのは「量」より「やりとりの往復」

サスキンドさんの本の中でも「言葉の数だけの問題ではない」「量と質の融合」という形で、ただ言葉を浴びせればいいわけではないと整理されています。そして、その後のアメリカの研究チームが面白いことを報告しています。赤ちゃんと大人が交互に言葉を交わした回数(会話のキャッチボールの往復数)のほうが、ただ浴びせた言葉の総量より、赤ちゃんの脳の言語に関わる部分の働きとよく結びついていたようなんです。

つまり、一方的にたくさん喋ることより、赤ちゃんが「あー」と言ったら「あー、だね」と返す、この小さな往復のほうが効いているらしい、ということ。これってすごく救われませんか。立派なことを話す必要はなくて、赤ちゃんの声に反応してあげるだけでいいんです。

日本でも、国立成育医療研究センターや日本小児科学会などが、乳幼児の発達では身近な人とのやりとり・応答的な関わりが土台になると説明しています。難しい教材より、目を見て、声に返して、表情を返す。その積み重ねが言葉を育てると考えられているようです。

テレビより「生身のやりとり」が届く理由

ベビーカーで散歩しながら語りかけるママ

「自分の語彙が乏しいから、いっそ知育動画やテレビに言葉を覚えてもらおうかな」と思ったこと、ありませんか。私もチラッと思いました。でも、ここも研究で分かっていることがあります。

赤ちゃんは、画面から流れてくる言葉より、目の前にいる人が自分に向かって話す言葉のほうがずっと吸収しやすいと言われています。これは「ビデオ・デフィシット(動画だと学びにくい)」と呼ばれる現象で、いくつもの研究で報告されてきました。

同じ「わんわんだね」でも、テレビから流れる声より、ママが赤ちゃんの目を見て言う「わんわんだね」のほうが届く、ということ。だから語彙が乏しくても全然問題ないんです。大事なのは「上手さ」じゃなくて「あなたに向けて話している」という生身の関わりのほうなんですね。

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今日からできる「やりとり」の言葉かけ

ここからは、肩の力を抜いたまま今日からできることを3つ。どれも「気の利いたこと」を言わなくていい方法です。

同じ声がけばかりでOK|困ったら「実況中継」

料理をしながら息子に声をかけるママ

私の本音の悩みは「何を話しかけたらいいか分からない」でした。気の利いたことなんて言えないし、結局いつも「おはよう」「ねむい?」「ごはんだよ」の繰り返し。これでいいのかな、と思っていました。

結論、それでいいんです。むしろ繰り返しは、赤ちゃんが「この音はこの場面で出てくる言葉だ」と覚えるのを助けると言われています。話題に困ったら、目の前のことをそのまま実況中継するだけで十分です。

  • 「今日はいい天気だね〜」(窓の外を見ながら)
  • 「あったかいお湯だね、きもちいいね」(お風呂で)
  • 「にんじん切ってるよ、トントントン」(料理しながら)
  • 「くつ、はこうね。みぎ、ひだり」(出かける前)
  • 「あ、ワンワンいたね。しっぽふってるね」(散歩中)

ポイントは、赤ちゃんが声を出したり指をさしたりしたら、それに反応して返すこと。「あー」って言ったら「あー、だね。気になるの?」。これだけで立派な「やりとり」になります。沈黙が続いても焦らなくていいし、無言で一緒に過ごす時間も、ちゃんと大事な時間です。

絵本の「これ何かな?」がそのまま最強の言葉かけ

膝の上で一緒に絵本を読む親子

実はもうひとつ、多くのママが無意識にやっている最高の言葉かけがあります。絵本を読みながら「これ何かな?」「わんわんどこ?」と問いかけることです。私も気づけば普通にやっていました。

これは「対話的読み聞かせ(ダイアロジック・リーディング)」と呼ばれていて、ただ文章を読むだけより言葉が育ちやすいと言われている方法です。やり方は難しくありません。

  • 「これ何かな?」と問いかける
  • 赤ちゃんが指さしたり声を出したら「そう、りんごだね」と受け止める
  • 「赤いりんごだね、おいしそう」と少しだけ足してあげる
  • 毎回ぜんぶやらなくていい。気が向いたページだけでOK

気づいていなかっただけで、絵本タイムでいつもやってるアレが、もう立派な言葉かけなんです。絵本をいつから・どう読むかは、別の記事でくわしくまとめています。

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「まずは1冊から」という方には、リズムがよくて赤ちゃんが思わず声を出したくなる絵本が入り口にしやすいです。我が家でも定番だった『だるまさん』シリーズは、「だ・る・ま・さ・ん・が…」の繰り返しがそのまま言葉かけになる一冊でした。

だるまさんシリーズ「が・の・と」3冊ケース入り

だるまさんシリーズ「が・の・と」3冊ケース入り(かがくいひろし/ブロンズ新社)

「だ・る・ま・さ・ん・が」のリズムと繰り返しで、赤ちゃんが思わず声を出したくなるロングセラー絵本。0歳のファーストブックにも、出産祝いのギフトにも定番の3冊セット(定価2,805円)。

📌 こんな人におすすめ:絵本の読み聞かせを「まず1冊」から始めたいママに

※価格・在庫は変動します。最新情報はリンク先でご確認ください。

タイプ別・楽になるヒント早見表

絵本やおもちゃを並べたフラットレイ

悩みのタイプ別に、肩の力が抜けるヒントをまとめました。

こんなママ楽になるヒント
話題が思いつかない目の前のことを実況中継するだけでOK(「天気いいね」「ごはんだよ」)
いつも同じ言葉ばかり繰り返しは覚えやすさにつながる。新しい言葉をひねり出さなくていい
ずっと喋ると疲れる無言の時間があって大丈夫。反応があったときだけ返せば十分
言葉が遅くて心配個人差が大きい。理解が育っていればOK。不安なら相談も安心材料に
動画に頼ってしまう生身のひと言が一番届く。動画は補助、罪悪感はいらない
絵本が苦手・続かない「これ何かな?」と1ページだけ問いかければ立派な言葉かけ

「言葉が遅いかも」と心配なとき|私の経験

ここからは私の正直な話です。うちの息子は言葉がゆっくりめでした。周りの友達が「ママ」「わんわん」と話し始めるなか、うちはなかなかで。「比べちゃいけない」と頭では分かっていても、やっぱり比べてしまうんですよね。これで大丈夫なのかな、私の話しかけが足りないのかな、と何度も思いました。

1歳のころには発達相談にも行きました。結果として、そこで「個人差の範囲ですよ」「やりとりはちゃんとできていますね」と言ってもらえて、すごくホッとしたのを覚えています。相談に行くこと自体、決して大げさなことじゃなくて、むしろ早めに専門の人と話せたことで安心できた。これは行ってよかったと思っています。

言葉の発達は、本当に個人差が大きいと言われています。同じ月齢でも、ぺらぺら喋る子もいれば、じっくりためてから一気に話し出す子もいます。理解している言葉(こっちが言ったことが分かる)が育っていれば、話し出すのは時間の問題なことも多いそうです。

だから「言葉が遅い=話しかけ不足」とは限らないし、ママのせいでもありません。とはいえ、心配な気持ちを「気にしすぎ」で片づけたくはないので、相談の目安は後半のFAQにまとめました。

言葉かけグッズは「使うと楽しい」くらいでいい

SNSを開くと、英語の歌を流しっぱなしにしていたり、知育カードをずらりと並べていたり、上手に語りかける動画がたくさん流れてきます。それを見て「私、ぜんぜんできてない」と感じる必要は、まったくありません。言葉は特別な教材がなくても育ちます。ごはんを作りながらの「トントントン」も、絵本の「これ何かな?」も、もう立派な言葉かけだからです。

そのうえで、「何か手元にあると安心する」「やりとりのきっかけがほしい」という方のために、使うなら入り口にしやすいものを2つだけ紹介します。どれも“使わなくても大丈夫”なもの。使うと少し会話のネタが増えるかも、くらいの気持ちで見てください。

言葉のきっかけを増やしたいなら「はじめてずかん」

「これ何かな?」のやりとりを増やしたいなら、身近なものがたくさん載った図鑑が便利です。我が家はタッチペンで音が鳴る「はじめてずかん1000」を使っていて、指さしと「わんわんだね」のやりとりが自然に増えました。正直なメリット・デメリットは別記事にまとめています。

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使わなくてもOK、でも買うならこの「知育カード」

「カードはなくても困らないけど、隙間時間のやりとりに使ってみたい」という方には、くもんの「ひらがなことばカード」が手に取りやすいです。0歳から使えて、身近なことば40語をイラストと一緒に見せられるカード。「これ何かな?」を出すきっかけになるので、絵本の合間や移動中にもさっと使えます。1セット1,000円前後と、試しやすい価格なのも気楽です。

くもん ひらがなことばカード 1集

くもん ひらがなことばカード 1集

0歳から使える、身近なことば40語のカード。表にイラスト、裏にことば。じょうぶな厚紙で、赤ちゃんが見やすいB6サイズ。「これ何かな?」のやりとりのきっかけづくりに(1,000円前後)。

📌 こんな人におすすめ:絵本以外にも、やりとりのネタを少し増やしたいママに

※価格・在庫は変動します。最新情報はリンク先でご確認ください。くり返しになりますが、これらは「使うと楽しいかも」くらいの位置づけ。使わない日があっても、いつもの声がけだけで赤ちゃんはちゃんと言葉を育てていきます。

よくある質問(FAQ)

Q. 赤ちゃん言葉(わんわん・ぶーぶ)は使わないほうがいい?

使って大丈夫です。「わんわん」のような赤ちゃん言葉は音がはっきりしていて口に出しやすく、赤ちゃんが言葉を覚える入り口になりやすいと言われています。成長とともに自然に「いぬ」へ移っていくので、神経質にならなくて大丈夫。正しい言葉で言い直してあげる必要もありません。

Q. 一日にどれくらい話しかければいいですか?

「何時間」という目安にこだわらなくて大丈夫です。大事なのは時間の長さより、赤ちゃんが声や仕草を出したときに返してあげる「やりとりの往復」のほうだと言われています。長時間がんばって喋るより、ふだんの生活の中で目を見て返す回数を少し意識するだけで十分です。

Q. 無口なほうなので、たくさん話しかけられません…

無理にお喋りにならなくて大丈夫です。たくさん喋ることより、赤ちゃんの反応に返すことのほうが大事なので、口数が少なくても問題ありません。目を合わせる、うなずく、表情を返す、それも立派なやりとりです。絵本の「これ何かな?」を取り入れると、話すのが苦手でも自然にやりとりが生まれます。

Q. 言葉が遅いとき、いつ相談すればいい?

個人差が大きい前提ですが、ひとつの目安として、1歳半健診や3歳児健診のタイミングで気になることを伝えるのがおすすめです。それ以外でも、目が合いにくい・呼んでも反応が薄い・指さしが出ない・こちらの言葉への理解が育っていないと感じるときは、早めに自治体の保健センターや小児科に相談していいと思います。私自身、1歳で相談に行って安心できたので、「相談=大ごと」ではなく「安心材料のひとつ」くらいに考えてもらえたらうれしいです。

Q. 動画や知育アプリで言葉は覚えますか?

赤ちゃんのうちは、画面より目の前の人から覚えるほうがずっと得意だと言われています。動画がダメというわけではなく、補助として上手に使うのはアリ。ただ「動画に任せれば言葉が育つ」とは考えず、生身の声がけと組み合わせるのがおすすめです。動画との付き合い方はこちらの記事にまとめています。

Q. 英語の歌や音声を流せば、言葉や英語耳は育ちますか?

聞き流しだけで身につくとは言いにくい、というのが今のところの見方のようです。言葉も英語も、人とのやりとりを通して育つ部分が大きいと言われています。流すこと自体は楽しめばいいけれど、過度な期待はしなくて大丈夫。英語耳については別記事でくわしく扱っています。

まとめ

窓辺で寄り添う親子
  • 言葉かけは「量」より「やりとりの往復」。難しい言葉も立派な内容もいりません
  • 同じ声がけ・実況中継でOK。繰り返しはむしろ覚えやすさにつながり、無言の時間があっても大丈夫
  • 言葉の早い遅いは個人差が大きい。比べて焦らなくていいし、不安なら相談も立派な安心材料

「たくさん話しかけなきゃ」と気負っていたあのころの私に、いちばん言いたいのは「そんなにがんばらなくて大丈夫だよ」です。ごはんを作りながらの「トントントン」も、絵本の「これ何かな?」も、ぜんぶもう立派な言葉かけ。気の利いたことを言えなくたって、あなたの声はちゃんと届いています。

合わせて読みたい

参考にした主な資料

  • ダナ・サスキンド『3000万語の格差――赤ちゃんの脳をつくる、親と保育者の話しかけ』(明石書店)/元研究:Hart & Risley(1995)
  • 国立成育医療研究センター(乳幼児の発達・育児に関する情報)
  • 日本小児科学会(乳幼児の発達・健診に関する情報)
  • 厚生労働省(乳幼児健康診査・発達相談に関する情報)
  • Romeo et al.(2018) 親子の会話の往復回数と言語に関わる脳活動の関連についての研究(アメリカの研究チーム)

※この記事は子育て中のママ個人の体験と、公的機関・研究で言われていることをまとめたものです。お子さんの発達で気になることがあるときは、かかりつけの小児科や自治体の窓口にご相談ください。

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この記事を書いた人

2024年9月生まれの男の子を育てるママ。育児の「これって大丈夫?」をエビデンスと実体験で深堀りしています。正直に使ってよかったものだけ紹介中。Instagram / Threads:@lino_toylog

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